立教大学大学院特任教授の宮本聖二氏がSurfvoteで課題提起。辺野古埋め立て反対が多数だが、本土移転や縮小などさまざまな意見が寄せられた。
SNSとテクノロジーで社会課題の発見・解決をサポートするソーシャルスタートアップPolimill株式会社(ポリミル、本社:東京都港区、代表取締役:横田えり、以下Polimill社)は4月30日に投票終了したイシュー(課題)「沖縄・名護市辺野古の埋め立てをめぐる民意と公益とは?」の結果をお知らせします。Surfvoteでは社会のあらゆる課題や困りごと、「イシュー」を専門家や大学の先生が執筆し、毎日掲載。Surfvoteに訪れればさまざまな社会課題をだれでも簡単に学び考えることができます。アカウント登録をすると選択肢のなかから自分の意見に近いものを選んで投票したり、コメントを書いたりすることができます。社会の分断や対立を助長するのではなく、さまざまな意見を持つひとが共通する価値観を見つけることができるようサービスの開発を日々進めています。
- 1分でイシューがわかる!「沖縄・名護市辺野古の埋め立てをめぐる民意と公益とは?」
2023年12月20日、福岡高裁那覇支部は沖縄県の敗訴を言い渡し、玉城デニー知事は最高裁に上告することを決定しました。国は普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進めるため、埋め立て区域の地盤改良工法変更を沖縄県に求めましたが、県は反対しました。結果、国は代執行を通告し、2024年1月に工事を開始しました。普天間基地は「世界一危険な基地」と呼ばれ、移設問題は地域の自己決定権と安全保障が絡む複雑な課題です。歴史的背景には、米軍基地由来の事件や事故が多数あり、沖縄の人々は長年にわたり基地問題に悩まされてきました。この対立を解決するためには、沖縄県と国だけでなく、日本全体での議論と理解が必要です。
- 投票の詳細
URL:https://surfvote.com/issues/71nn9fvseglh
調査主体:社会デザインプラットフォーム Surfvote(Webサービス)
調査対象:Surfvote上でアカウントを持つユーザー
調査方法:Surfvote上でアカウントを持つユーザーが投票
投票期間:2024年3月1日〜4月30日
有効票数:41票
- 投票結果とコメントの紹介(一部抜粋・原文ママ)
過去の国政選挙や県民投票の結果から民意は明らかなので、辺野古沖を埋め立てる工事は中止すべきだ。 31.7%
沖縄の人たちが反対しているのに、国が強硬的に政策を決定しているとしか思えない。綺麗な海だけじゃなく、沖縄に住む人たちの意志をも踏み躙っている現実から目を逸らしちゃダメ。私は本島に暮らす人間だけど、沖縄の米軍基地のニュースを聞くたびに心が痛む。辺野古沖の埋め立て工事は中止にして、日本全体で等しく負担を請け負うべきだよ。
基地の拡大は、沖縄への攻撃の危険をもたらすので、埋め立て工事も含め基地は全面的に縮小すべきだ。 9.8%
日本の安全保障という公益を優先するなら本土に移設をすべきで現在の工事は中止すべきだ。 17.1%
安全保障は確かに重要ですが、辺野古の埋め立て工事は環境に対する影響や地元住民の声に配慮する必要があると考えます。もし本土に移設することで、安全性を確保しつつ地元の懸念を軽減できるなら、その方が総合的な公益に貢献するのではないかと思います。単に安全保障だけでなく、環境や地域社会の側面も含めてバランスを取るべきだと思っています。
普天間基地の危険を除去するには、一刻でも早く移設を進めるべきだ。 7.3%
普天間基地は住宅街の只中に位置していて大変危険である。名護市辺野古への移設が完了すれば、代わりに普天間には安全が戻ってくる。美しい珊瑚礁が埋め立てられることに胸は痛むが、沖縄県民のためにも迅速に移設を遂行すべきであると思う。
日本全体の安全保障のためには沖縄の海兵隊は欠かせないので移設を進めるべきだ。 12.2%
民間の意思は尊重されるべき。ただ安全のためには無くすわけにはいかないので移設という選択肢を選びました。
日本の公益は、沖縄の民意よりも重要なので工事を進めるべきだ。 2.4%
冷酷かもしれないが、こと安全保障の問題についてはこのように考えざるを得ない。沖縄に基地が集中しているのには地政学的な理由もあるのだと思うし、米海兵隊が今の日本にとって必要な存在であるのも事実だ。国の防衛がかかっているのだから、一つの県の民意よりも一国の公益が優位に据えられるのは当然と思える。
その他 9.8%
住民の生活への影響と、国防上のメリットの両方を鑑みて慎重に判断していく必要があると思いますが、現時点でどちらがいいと断言できません。
わからない 9.8%
もし自分基地の側に住んでいたら断固反対すると思う。常に戦闘機が落ちてくるのではないか、暴行にあうのではないか、攻撃されるのではないか心配なことが多すぎて想像でしかないですが抵抗があります。かといって、本土などに移せば解決ともならない気がします。移設したらまた近辺の住民の課題や他にも新しい課題が出てくると思うので一概にこれが正確というのが浮かばないです。
- このイシューを執筆した 宮本 聖二氏
立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科 特任教授。日本ファクトチェックセンター 副編集長。
誤まっていたり、意図的に歪められたりした言説が溢れる情報空間を少しでも健全化したいと思っています。リテラシーの獲得、ファクトチェックの普及に取り組んでいます。社会課題の解決には、検証された事実に基づいての議論や意見交換、アイデア出しが欠かせません。そのために皆さんと一緒に考えたいと思います。