武庫川女子大学教育学部准教授の吉井美奈子氏がSurfvoteで課題提起。婚姻した夫婦が同姓になることは本当に伝統で、唯一の正解なのか?投票結果について吉井氏からのコメントも掲載。
SNSとテクノロジーで社会課題の発見・解決をサポートするソーシャルスタートアップPolimill株式会社(ポリミル、本社:東京都港区、代表取締役:横田えり、以下Polimill社)は4月30日に投票終了したイシュー(課題)「日本でも選択的夫婦別姓を認めるべきか?」の結果をお知らせします。Surfvoteでは社会のあらゆる課題や困りごと、「イシュー」を専門家や大学の先生が執筆し、毎日掲載。Surfvoteに訪れればさまざまな社会課題をだれでも簡単に学び考えることができます。アカウント登録をすると選択肢のなかから自分の意見に近いものを選んで投票したり、コメントを書いたりすることができます。社会の分断や対立を助長するのではなく、さまざまな意見を持つひとが共通する価値観を見つけることができるようサービスの開発を日々進めています。
1分でイシューがわかる!「日本でも選択的夫婦別姓を認めるべきか?」
選択的夫婦別姓制度は、結婚しても夫婦がそれぞれの姓を保持できるようにするものです。現行法では、結婚に際して夫か妻の姓のどちらかに統一することが義務付けられていますが、これが原因でアイデンティティの喪失や職業上の不利益などの問題が発生しています。実際、結婚による姓の変更は女性に多く、これがジェンダーの不平等をさらに強調しているとも指摘されています。別姓を望む夫婦は事実婚を選ぶこともありますが、これには法的な不利益が伴います。選択的夫婦別姓制度は、個人の選択を尊重し、夫婦がそれぞれの姓を保持することを認めることで、多様な家族の形を支持するものです。この制度の導入には賛否両論あり、社会の伝統的な価値観と現代の価値観がぶつかっています。
- 投票の詳細
URL:https://surfvote.com/issues/2ma6c1mfk6eo
調査主体:社会デザインプラットフォーム Surfvote(Webサービス)
調査対象:Surfvote上でアカウントを持つユーザー
調査方法:Surfvote上でアカウントを持つユーザーが投票
投票期間:2024年2月13日〜4月30日
有効票数:79票
- 投票結果とコメントの紹介(一部抜粋・原文ママ)
日本で選択的夫婦別姓を認めることに賛成 79.7%
選択的なのだから、同姓が良いという人たちは従来通りにすればよい。利便性や主義の点から別姓にしたければすればよいというだけで、選択的夫婦別姓を認めて不利益を被る人はいない。
家庭を重んじる精神や団体主義といった曖昧なものを根拠に、別姓を希望する人たちの権利を制限すべきではないと考えている。
日本で選択的夫婦別姓を認めることに反対19%
夫婦は同姓であるのが自然だと感じる。結婚して子供が生まれれば、男も女も皆「家庭」という単位で生きていくことになるのだから、その証として共通の姓を持つことに違和感はない。戸籍上の姓は変わったが仕事上では旧姓を名乗り続ける人も多くいる訳で、それでどんな不都合があるのだろう。別姓が実現した場合、子供はどちらの姓を名乗るのだ。家族の一体感が損なわれてしまう。
その他1.3%
わからない0%
- このイシューを執筆した 吉井 美奈子氏
家政学、消費者教育を専門としています。
東日本大震災をはじめ、発災後の生活支援や避難所での暮らしについてや、家庭科・消費者教育に関する教育教材(デジタル被服教材やエシカル消費に関する教材など)の開発に関心があります。
- 吉井 美奈子氏からのコメント
この度、沢山の投票とコメントを頂き、ありがとうございました。賛成の方は当事者であったり、当事者の立場に立った意見が多かったように思います。反対と回答された方々も、素直なご自身の意見や感情を率直に書かれていました。記事の内容と繰り返しになりますが、「選択的夫婦別姓」は、「全員が別姓」になる制度ではなく、別姓にしたい人が出来るようになる選択肢を増やすものです。
きっと、この制度ができても、別姓を選択する人は、数%に留まるでしょう。おそらく、ほとんどの夫婦が夫の氏を選ぶ現状はすぐには変わらないと予想しています。
そして、私は、それでも良いと思っています。選択肢があるということは、「別姓にもできるけれど、私達は同姓を選んだ」と、より強く明確にできるからです。「別姓にもできるけれど、私はあなたの氏になりたい」と言われる方が「みんなそうしてるから…」と言われるより、嬉しく思うかもしれません。選択肢の多い社会の方が、より成熟していると思いませんか?